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令和5年度第1回中央学術研修会の印象記

令和5年度第1回中央学術研修会の印象記
学術委員:竹田太郎

令和5年度第1回の中央学術研修会は、せりえ鍼灸室の辻内敬子先生をお迎えして、「妊娠中の女性への鍼灸治療の安全性と効果〜ケーススタデイから学ぼう!」と題してご講演をいただきました。みなさんもご存知のとおり、全日本鍼灸マッサージ師会は活動の大きな柱の一つにフェムテックを掲げ、全国の師会と協力して強く推進していく方針を打ち出しています。また、金沢市鍼灸マッサージ師会は行政(金沢市)が推進する子ども支援・母親支援に追随して、数ヶ年計画で広報活動と研修活動を推し進めています。そのようなタイミングで辻内先生をお迎えできたのはラッキーだったのではないでしょうか。
黄帝内経・素問の上古天真論に『女性は8の倍数でライフサイクルが変化していく』とあるように、古くから女性のライフサイクルに鍼灸あん摩マッサージは関わってきました。現代社会では女性の晩婚化に伴う出産平均年齢の上昇など、少子化の要因にもなっている諸問題が長らく議論されてきています。政治の話しは別の機会に譲るとして、月経の諸問題や未妊・不妊、妊娠悪阻、逆子、産後うつ、更年期障害など、様々な状態や症状に東洋医学的アプローチは有用と言われてきましたが、その中でも今回は“妊婦”に焦点を当ててお話しいただきました。
妊婦へ鍼灸治療を行う時の注意点や気をつけること、禁忌など、あるいは常用される経穴の紹介と理由、それらのエビデンスなどについて、復習となる内容から新たな知識までをお話しいただきました。少し乱暴に要約すると、常識的な通常の鍼灸治療を行うということであれば、特に問題ないということでした。もちろん、「常識的な」の中には婦人科・産科における最低限の知識があっての上での話しです。治療院のカラーやあはき師の特徴(専門性)、地域や価格設定などの要素によっては、頻繁に妊婦さんに施術する人もいるでしょうし、滅多に妊婦さんは診ないという人もいることでしょう。どの様な環境であれ、備えておくことは重要ですし、そういった意味でも良い学びになったのではないでしょうか。辻内先生、ありがとうございました。