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行事予定

7月期加賀三策塾のお知らせ

7月期加賀・三策塾開催のお知らせ

 

以下の通りハイブリッド開催いたします。会員の皆様、できたら会場にお越しくださってご尊顔をお見せください。

トピック: 7月期加賀・三策塾
時間: 2022年7月3日 10:30~12:30(ミーティングルームは10:00から)

オンライン参加の方は以下のリンクよりご参加ください。
Zoomミーティングに参加する
https://us06web.zoom.us/j/87404487906?pwd=UEdNWnI3UzRKeDNGMGNyNThhRGZWQT09
ミーティングID: 874 0448 7906
パスコード: 610301

(オンライン参加の方はお名前が分かるようにして参加してくださいね)

会場:石川県立盲学校2階講堂

単位:2

参加費:無料

参加資格:免許があればどなたでも、また養成学校学生さん

 

帯状疱疹後神経痛の2症例

石川県鍼灸マッサージ師会学術委員  長  連隆

「はじめに」帯状疱疹後神経痛は難治な神経障害性疼痛で知られているが、この度鍼灸施術を施し経過の異なる2症例を経験したので報告する。

「症例」患者  55歳 女性 身長145cm 体重40㎏弱ぐらい

「初診日」平成10年3月28日

「現病歴」 

平成8年9月終わり頃、左胸部に発赤、疼痛が出現し、1日様子をみて次の日A内科を受診する。A内科よりB大学病院皮膚科に紹介され、入院し抗ウイルス薬の点滴をうけ、その後2週間B大学病院皮膚科に通院する。入院期間中左背部から胸部の疼痛が激痛となり10月15日より同病院麻酔科にかわり、神経ブロック(硬膜下麻酔?)を受ける。その後背中からカテーテルを挿入し痛くなったらボタンを押すと、薬剤が注入される装置(硬膜下麻酔?)をつけてもらい12月いっぱい治療する。平成9年1月から、神経ブロック(硬膜下麻酔?)に切り替え3月いっぱいまで施術する。平成9年4月より電気治療(SSP?)週1~2回、鎮痛薬 平成10年3月いっぱい施術する。電気治療を開始してからほとんど症状軽減せず。電気治療なら接骨院でもできるのでは?また鍼灸も効くのではと思い当院に来院する。

「所見」

初診日の痛みはNRS2 、痛みの性質はピリピリ、チクチク、天候、時間、体調などにより疼痛の増減なし、入浴により疼痛軽減せず、触覚消失背部~左前胸部(Th7~9あたり)、疼痛局所の圧痛(―)、硬結(―)アロデニア(―)

「施術方法」

膈兪ー肝兪、同経穴から肋間に沿って側胸部に2点をとる、不容ー承満にSSP刺激(トリミックス)15分その後同部に寸3、1番で置鍼低周波鍼通電 1Hz×10分 その後同部に半米粒大8分灸1壮施灸

「経過」

直後効果なし ただしSSP施術中及び鍼通中は症状軽減する。約半年間施術を継続する。最初は週3回、その後週1、2回の頻度で施術するが症状不変のまま施術終了する。その間、頭皮鍼、風池、肩井、膏肓など追加を試みるも患者より拒否され中断する。

施術終了後、他傷病で当院に通院する。最初のうちは帯状疱疹後神経痛も併用していたがそのうち併用しなくなる。平成18年症状不変、平成19年症状不変、平成23年症状不変、平成26年症状不変(帯状疱疹後神経痛はC総合病院に通院中)平成29年症状不変、令和2年不問、令和3年5月15日帯状疱疹後神経痛の痛みなし

「症例2」患者72歳 女性 身長145㎝ 体重42,3㎏

「初診日」令和4年2月14日

「現病歴」

昨年8月左臀部に発疹ができ、D内科にて軟膏を処方される。2日後発疹ひどくなり、休日だったためE大学病院救急外来に受診おそらく帯状疱疹だと思うが専門医不在のため後日来院するようにいわれ軟膏だけ処方される。その2日後水泡ひどくなり、E大学病院皮膚科へ受診、1週間入院点滴をうける。そのころから痛みが出てきて、やがて激しい疼痛となり、鎮痛薬、痛み止めのぬり薬を処方され、1か月に1回通院する。徐々に疼痛軽減するが11月ごろから症状固定(1か月前から塗り薬のみ)し、あとは自分にあった治療をしたほうが良いよ、鍼灸なんかも良いよといわれ、当院に来院する。

「既往症」パーキンソン病初期 令和3年6月よりE医科大学病院神経内科通院中

高血圧D内科通院中 鼠経ヘルニア手術令和4年1月E大学病院

「症状、所見」

腰部から臀部にかけて、チクチク、ピリピリするような痛み(ほとんど臀部)疼痛NRS6か7、触覚障害(―)アロデニア(―)圧痛(+)左坐骨結節(臀溝より圧迫) 左次りょう、お風呂に入ると症状軽減する、その日、時間などにより痛みに増減あり、前腕、下肢振戦、背部軽度屈曲位姿勢

「施術」

左承扶ー左承扶の外側2㎝ 左次りょうー左関元兪 SSPトリミックス15分後、同部に寸3 1番低周波鍼通電2HZ10分後 左膀胱兪、左胞肓、右次りょう、右関元兪、左右腎兪 単刺 半米粒大8分灸 左承扶、左承扶の外側2㎝各3壮、左次りょう、左膀胱兪各2壮、左右関元兪、左右腎兪各1壮施灸

「経過」

2/14(1回)施術後症状軽減2/28(2回)症状軽減3/7(3回)症状悪化

3//11(5回)痛みの種類がピリピリ、チクチクからジーンとした痛みになってくる、治ってきたような気がする3/19(9回目)だいぶ良くなってきたNRS6 4/14(19回)左下肢のシビレ出現(今までもうっすらシビレていたが臀部の痛みがつよかったので感じなかった)症状固定気味になってきたので、頭鍼(左承光置鍼)承筋ー承山低周波鍼通電を追加する。6/10(41回目)日によって症状の増減はあるが、疼痛軽減傾向(左下肢のシビレもほとんど軽減)を維持週2回施術継続中

「考察」

帯状疱疹は水痘初感染後、脊髄後根神経節、三叉神経節などに潜伏していたウイルスが、個体の抵抗力低下に伴って再活性化して発症する。帯状疱疹後神経痛の標準的な定義はないが皮疹出現から90日以上経過した痛みとして定義されることが多い。帯状疱疹関連痛は、皮疹発症前に生ずる痛み(前駆痛または先行痛)帯状疱疹急性期の痛み(帯状疱疹痛)、慢性期の神経痛の痛み(帯状疱疹後神経痛)を合わせたものである。前駆痛や帯状疱疹痛などの発症初期に生ずる痛みは主に炎症性の痛みで、侵害受容性疼痛と呼ばれる痛みである。帯状疱疹後神経痛のメカニズムは、(1)求心性入力を断たれた痛覚伝導路のニューロンが異常に興奮し疼痛が発生する求心路遮断痛、(2)末梢神経の再生中、再生線維から側芽が伸びそれが自発性異常興奮する。(3)皮膚の炎症が治まった後も炎症に伴って発生したC侵害受容繊維の過敏化が続き、この過敏化が中枢性痛覚過敏をおこす。などの色々な疼痛がミクックスされている。症例1は触覚が消失、圧痛もないので局所の炎症はほとんどなく、求心路遮断痛が痛みのほとんどを占めている病態であったため、鍼灸治療も効果がなかったとおもわれる。症例2は触覚も正常で神経障害も少なく、局所に圧痛もあるので、まだ局所の炎症が痛みの主役を演じているため鍼灸施術の効果があったと思われる。症例2は今後局所の炎症がなくなるにしたがい症状が固定されてくると思われるが、いろいろ工夫しながら施術していきたい。