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行事予定

10月期加賀三策塾のお知らせ

10月期加賀・三策塾を下記の要綱で開催いたします。

会場とオンラインで受講できます。

今回は長針灸接骨院院長の長連隆先生が症例をご提示くださいます。フェムテックとは違いますが必ずお役に立つお話が聞けると思います。

患者様への説明ややり取りを通じて、施術を継続させていくベテラン鍼灸師のワザと極意をお話しくださいます。

ふるってご参加ください。

 

日時:令和5年10月1日(日)10:30~12:30

場所:石川県立盲学校とオンライン(ミーティングルームは下記の通り)

内容:「突発性難聴の2例」

講師:長針灸接骨院院長 長連隆先生

単位:2

参加費:無料

参加資格:なし(どなたでも)

Zoomミーティングに参加する(10:00から入室できます)

https://us06web.zoom.us/j/83880793048?pwd=gFpWx97Y317m5OlL5R9iDgWhfFkrEn.1

ミーティングID: 838 8079 3048
パスコード: 682227

※オンライン参加の方はお名前が表示されるようZoomアプリを設定しておいてください。

 

突発性難聴の2症例

            石川県鍼灸マッサージ師会学術委員  長  連隆

「はじめに」突発性難聴は原因不明の急性感音性難聴であり病因も血管障害説、ウイルス感染説、自己免疫疾患説などの諸説が想定されているが、現在まで決定的なものはない。また早期にステロイド治療を開始すればよく治るといわれている。今回突発性難聴の2症例に対しての鍼灸治療を経験したので報告する。

「症例」患者  53歳 男性 身長175cm 体重75㎏ 「職業」重機オペレーター

「初診日」令和X年7月25日左耳がガー、シャーと言って音が聞こえなくなる。A耳鼻科ですぐB医科大学病院を紹介される。7月26日B医科大学病院にて、突発性難聴と診断されステロイドの点滴を通院で開始し、ATP製剤、ビタミンB12を処方される、聴力に改善なく8月1日で点滴の治療は中止。

「所見」ガー、シャーと音がしていて、耳はほとんど聞こえない。聴力検査はグラフの下の方。最初よりはかすかに聞こえるような気がするがほとんど聞こえない。左頸部から肩にかけて筋硬結著明、肩こり、耳の周り圧迫感

「施術方法」両肩背部に干渉波をかけた後、右翳風、ケイ脈、耳門、聴会、角孫に寸3、1番置鍼その後右翳風、ケイ脈、耳門、聴会に半米粒大8分灸1壮、その後左外関、両肩井、風池、左翳風、両肩外兪、膏肓、天宗、膈兪、単刺

「経過」

8/1(1回目)施術直後、首の周りの圧迫感が楽になる、耳鳴り、聴力は不変

8//4(2回目)8/2医科大で聴力検査の結果、まったく改善されてなくもう治りませんと言われる。医科大の治療は薬のみとなる。8/24診察予定となる

8/8(3回目)症状軽減(耳鳴り、聴力とも)今まで目覚ましの音が聞こえなかったが、聞こえるようになる。前回施術後からだいぶ楽になる。

8/17(5回目)だいぶ良くなる。耳鳴りも少しになる

8/26(8回目)医科大で検査の結果、左右同じ程度の聴力になる。耳鳴りもなくなる。医師から奇跡がおきましたといわれる。なにか他に治療しましたか?と言われる。筋弛緩剤、ビタミンB12、1か月処方される。耳が過敏になり(聞こえすぎる)、反響音がするようになる。反響音の治療と肩こりがあるので、しばらく通院するとのことにする。

9/13(13回目)反響音もほとんどなくなる。耳の症状ほとんどなくなる。

疲れてくると肩が凝ってくるので、予防もかねて時々通院することにする。

「症例2」患者  56歳 男性 身長173cm 体重75㎏「職業」重機オペレーター

「初診日」令和X年9月9日

「現病歴」5年ほど前トラックの荷台から落ち肩甲骨をうってから左耳の耳鳴りが少しある。 

平成x年8月13日左耳が突然ガツと言って音が聞こえなくなる。すぐにC町医者を受診したところ、D総合病院耳鼻科を紹介される。突発性難聴と診断され、耳にステロイドの注射の治療を開始する。7月26日A医科大学病院にて、突発性難聴と診断されステロイドの点滴を通院で開始し9月1日まで通院する。病院で治療して改善がみられず、もう治らないといわれている。友達から自分は鍼で治ったから鍼が効くよといわれ当院に来院する。

「既往症」糖尿病でC病院に通院中

聴力半分以下、音がしているのはわかるが、言葉はわからない。耳鳴りセミが鳴いている音や、ザーと音がしている。耳鳴りがきになる。左頸部から肩にかけて筋硬結著明、肩凝り、耳の周り圧迫感

「施術方法」両肩背部に干渉波をかけた後、右翳風、ケイ脈、耳門、聴会、角孫に寸3、1番置鍼その後右翳風、ケイ脈、耳門、聴会に半米粒大8分灸1壮、その後左外間、両肩井、風池、左翳風、両肩外兪、膏肓、天宗、膈兪、単刺

「経過」

9/9(1回目)施術直後耳の周りの肩こり感は楽になるが、聴力、耳鳴りは変化なし。

9/13(3回目)少し耳の聞こえが良くなる。耳鳴りは変化なし。

9/22(6回目)9/13よりさらに耳の聞こえは良くなる。病院で聴力検査も改善が認められる。耳鳴りは変化なし。

患者さんから聴力は、今の程度でよいので、耳鳴りの方を改善してほしいといわれる。

10/13(10回目)聴力のある程度の改善は見られたが、耳鳴りの改善はみられないため施術終了とする。

(考察)

今回突発性難聴の2症例を経験した。経過が良かった症例1は早期にステロイド治療を開始したため当然と考えていたが、後で文献を調べてみると、回復例のほとんどはステロイド開始後1週間以内に回復してくるという論文もあるので、8/4、B医科大学病院からもう治りませんと言われたのも、大げさではなかった。この症例は病院の治療に鍼灸施術を追加したことがターニングポイントになった可能性がある。また症例2に関しても3週間C総合病院の治療で改善しなかったものが鍼灸治療を追加したことによって少し改善したと思われる。全日本鍼灸学会雑誌の「突発性難聴に対する鍼治療の検討」田辺成蹊大他にも突発性難聴の患者14例に対して、鍼治療の効果を検討した結果、有効率が78%であった。

このことは突発性難聴に対して、今後の鍼治療に期待できうるが、経過日数が長期にわたった慢性的なものについては、効果はあまり得られなかったと結論している。

今回の2症例もこの論文を再確認する結果となった。

〈参考文献〉

突発性難聴に対する鍼治療の検討 全日本鍼灸学会雉誌 35巻3・4号(196~199)