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10月期加賀三策塾のお知らせ

10月期加賀・三策塾

 

日時:令和6年10月6日(日)10:30~12:30

場所:石川県立盲学校とオンライン

講師:長針灸接骨院院長 長連隆先生

内容:「変形性股関節症の2症例」

単位:2

参加資格:有資格者、養成学校学生、医療従事者、ほかどなたでも

参加費:無料

ミーティングルーム詳細は以下

https://us06web.zoom.us/j/83762175454?pwd=04DsJEzhRHJFJ6drxU0datVgDyTMbP.1

参加 Zoom ミーティング

ミーティング ID: 837 6217 5454

パスコード: 622743

ミーティングルームは10時過ぎから入ることができます。

 

フェムケアを考えた時に変形性股関節症は男性の5~9倍女性に多いとされています。

今回の2症例は70歳代の女性で、一人は初期、もう一人は末期の股関節症です。

それぞれ同じ施術でも患者の求める結果が何なのかをしっかりと把握し適切に説明を行うことで効果に差が出ます。

臀部の経穴は多くありません。施術はどう組み立てるのかを考察しました。

臨床家の先生だけでなく、養成学校学生にも役に立つ内容です。奮ってご参加ください。

なお、zoom入室の際はマイクをオフにしお名前がわかるようにしてください。ビデオはオンオフどちらでも結構です。

みなさんとお会いするのを楽しみにしています。

学術局長 中田和宏拝

 

『変形性股関節症の2症例』

 

            石川県鍼灸マッサージ師会 学術委員  長  連隆

「はじめに」近年人工股関節等の進歩は著しく、変形性股関節症で鍼灸院に訪れる患者も減少していると感じていますが、この度変形性股関節症に鍼灸施術を施した2症例を経験したので報告する。

「症例」患者74歳女性身長159cm 体重52㎏ 職業 デパート勤務(不定期)

 趣味 旅行、登山

「初診日」令和X年5月16日

「現病歴」数年前山登りをしていて降りる際、左股関節~左大腿部まで痛くなる。A整形外科レントゲン検査異常なしといわれ、時々整体に通院していた。

徐々に疼痛がひどくなってきたので、令和X―1年年末B整形外科を受診、レントゲン検査等の結果変形性股関節症の末期といわれ、手術を勧められ、鎮痛薬を処方され体操を指導される。

その後一進一退をくり返しながら徐々に痛くなり、令和X年4月C医科大学病院整形外科で変形性股関節症の末期でいずれ手術になるでしょう。と言われる。また今手術しても良い時期ですよといわれる。

「症状、所見」常時痛い、寝ていて痛いこともある、しゃがむと痛い、立ち座り痛(+)歩

行痛著明だが歩き出すと徐々にやわらぐ、跛行(⧺)内旋痛(+)外旋痛(+)他動内旋10°他動外旋10°内反痛(⧺)内反制限(⧺)、開排正常、屈曲正常、伸展正常

圧痛 衝門及び鼠径靭帯に沿って衝門の内外側3センチ付近に圧痛(⧺)

「既往症」」特記なし 先天性股関節脱臼は聞いていないが、C医科大学病院整形外科でたぶん先天性股関節脱臼の既往あったのでしょうといわれる

「患者説明」末期ですが、疼痛のわりに股関節の関節可動域は確保されているため、鍼灸をしていくと、症状軽減し日常生活にあまり支障のないレベルまで回復すると思うが、いずれ手術になると思われるが手術を遅くすることはできる旨説明し同意をえて施術を開始する。

「施術方針」股関節周りの筋肉や関連痛、股関節をかばっている筋肉の圧痛硬結、圧痛硬結を目標に刺鍼。

「施術方法」側臥位にて、先に股関節周りに干渉波を15分かけながら、その上からホットパックで温める。鍼灸施術 寸3、1番鍼使用

左膀胱兪(梨状筋起始?) 左梨状筋の中腹付近、(環跳)梨状筋の停止付近、上環跳(環跳の上3㎝中殿筋付近?)に置鍼(2㎝)上から遠赤外線照射(10分) その後圧痛硬結を目安に 左右腎兪、左右関元兪、左風市 、左伏兎、左陽陵泉、左外丘に単刺

灸 左膀胱兪 左梨状筋の中腹、左環跳 左上環跳、左右関元兪 8分灸1壮

背臥位 鼠径部の圧痛点(腸腰筋、内転筋、恥骨筋あたり) 左衝門、左府舎あたり左伏

(1)

兎、左血海(膝蓋骨より)左上巨虚などを単刺

5/16(1回目) 施術直後 症状著効あり8割程度症状軽減 跛行も激減する

5/23(2回目)施術後2,3日楽だったがまた戻る。最初1日おきに施術するよう指導する

5/31(6回)徐々に症状軽減してくる歩行痛み軽減

6/20(14回)歩行痛あまり気にならない日が多くなる。 跛行軽減 階段の上り下りは痛い しゃがむと痛くしゃがめない

 刺激が強くあたって来たので、1番鍼から0番鍼に変更

7/4(18回) 歩行痛ほぼ軽減 跛行軽減 0番から1番の戻す

 だいぶ調子が良くなってきたので、週2回にする。いずれ週1回ぐらいでコントロールする予定

811(30回)歩行痛なし、 日常生活ほぼ調子良い 跛行ほぼ消失

8/22(33回)症状悪化 あまり調子が良かったので白山に登山甚之助小屋で痛くなったので引き返してくる

9/4(37回)症状悪化前の症状に軽減 やや跛行あり

9/30  だいぶ良好だが、仕事(デパート、不定期)をすると痛くなる

左股関節 内旋17°外旋17°、右股関節 内旋35°外旋35°、屈曲 85°伸展0°

11/22(54回)調子良好 NRS10→6 歩行痛(-)階段ゆっくりなら上り下りできるようになる 跛行軽度(-)よく見るとわかる程度(白山に上る前はなくなっている日もあったが)

日常生活ほぼ良好 今の状態を維持していきましょうと説明

令和X+1年2月3日 C医科大学病院整形外科を受診 X-P検査昨年よりは少し進行しているが、まだ末期というほどではない。まだ手術する必要はないといわれる。

令和6年9月現在ほぼ日常生活に支障のない状態で今も鍼灸を継続している。(週1、2回程度。)ただ少しの跛行が残っている。(本人は気づいていないことも多い)調子が良いと山に登るので、その後一時的に悪化する。

(患者説明)適度な運動は股関節に良いがハードな運動は悪化させるので、本当は登山は良くないと思いますが・・・好きなことをしないで長い人生を過ごすのもどうなのかな?ともおもいますしね・・・・

「症例2」患者70歳 女性 身長153㎝ 体重50㎏ 仕事 飲食店 客席はすべて座敷

「初診日」令和X年5月15日

「現病歴」令和X年1月ごろから右鼠径部が少しずつ痛くなる

 2か月ぐらい前から特に痛くなる 歩行痛(+)階段の上り下り痛みしゃがむと痛い

「既往症」 右先天性股関節症 25年前卵巣嚢腫手術

「症状、所見」右股関節開排痛(+) 伸展時 腰痛(+)股関節運動制限(-)

腰部から鼠径部にかけての痛みなので腸腰筋の痛みと推定する。 先天性股関節脱臼の既往があることから、変形性股関節症の初期症状として腸腰筋が痛んでいると推定

(2)

変形性股関節症の初期で、鍼灸で治癒すると思いますが、長い人生の間に痛くなったり治ったりを繰り返すと考えられるので、今すぐではないが、一度整形外科に診てもらった方が良いと説明する。

「施術」側臥位股関節周りに干渉波 15分その上からホットパックで温める

鍼灸施術 寸3、1番鍼使用

背臥位で右衝門、右脾関 置鍼10分、その上から遠赤外線照射その後右維道に単刺、その後それらの穴に半米粒大8分灸各1壮  右上環跳 、左右大腸兪、右大腸兪から腸骨稜に沿って3㎝ぐらいのところ、左右腎兪 単刺その後半米粒大8分灸各1壮 

「経過」5/15(1回目)施術後症状軽減

5/17(3回目)鍼をした後痛くなかったが今日仕事をしていて痛くなる。

5/18(4回目)今日は仕事をしても痛くなかった。

5/23(6回目)日光へ旅行に行ってこられた 階段の上り下りは痛くなかったが、歩く際足を上げるときが痛かった

6/27(20回)症状軽減 仕事をしていない日は痛くない

この時から仕事をしない日は痛くないが、仕事をしていると痛くなる。

調子は良好だが、完治もせず、長引きそうなので、C大学病院整形外科に紹介する。

レントゲン検査等により右変形性股関節症と診断される。後日CT検査をするが異常なし

9/5(40回)だいぶ良くなったがまだ少し痛い

10/23(47回)ほとんど症状軽減したため略治とする。

令和X+1年7月今は全然痛くないとの事

「考察」一般に変形性関節症と呼ばれるものは、関節体に進行性の退行性変化が起こり、また同時に骨・軟骨の増殖性変化が徐々に進行して関節体が変形せるものをいう。

股関節の構造に欠陥がなく、特別な原因がなく発症するものを一次性の変形性股関節症といい、関節の基礎的な疾患に随伴して発症するものを二次性変形性股関節症という。

我が国では先天性股関節脱臼の既往からおこる二次性の股関節症が最も多い。今回変形性股関節症の2症例を経験し2例とも比較的良好な結果が得られた。しかし症例1においては患者の希望によっては手術療法がベストな選択であった可能性もあり、患者と十分コミニユケーションをとり鍼灸治療が患者のニーズにあった治療かを確認して施術を行うことが重要と考える。

その他

1,変形性股関節症とは

2,フェムテックから観た変形性股関節症 

3,鍼灸治療について

4,変形性股関節症の予後

 

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