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頭痛と鍼灸・マッサージ

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頭痛と鍼灸マッサージ

 

1.鍼灸マッサージで良くなる頭痛

頭痛は大きく2つに分類されています。一次性頭痛は緊張型頭痛、片頭痛など日常的に見られる頭痛です。他の頭痛は脳の病気や感染症などで起こるものです。鍼灸マッサージでは主に一次性頭痛の治療を対象としています。

大切なことは患者さんの「頭が痛い」という訴えに対し、その頭痛が鍼灸マッサージをして良くなる頭痛なのかを見分けることです。そして鍼灸マッサージに効果が期待できない、病院で診察しないといけないかもしれない頭痛であれば専門医に紹介します。

2.鍼灸マッサージが頭痛に効くわけ

鍼を刺してお灸で暖めて、マッサージでからだをほぐして頭痛が治るのでしょうか?「あたまに鍼をさすの?」、「あたまのてっぺんに大きなもぐさを乗せてけむりもくもく?」、「骨しかない頭はどうやってマッサージするの?」いろんな疑問がありそうですね。

痛みがある頭皮の部分に治療を行うこともありますが、基本的にからだに治療をします。からだの調子を良くすると頭痛が楽になるのです。

「からだ鍼灸マッサージをしてどうして頭痛が治るの?」新しい疑問ですね。

3.治療はどうするの?ーコリ(TP)と冷えと頭痛、頭痛と全身の関係ー

まず、頭痛に対する鍼治療の実験をご紹介しましょう。慶應義塾大学医学部神経内科・漢方医学センター・環境情報学部・鍼灸マッサージ師の鳥海春樹先生の実験です。

鳥海先生は頭痛の患者さんに鍼灸マッサージ治療をして気づいたことがありました。「頭がいたいのにお腹が冷えているのはどうしてだろう?背中に大きなコリができていて大変そうだ」そうして冷えをお灸で暖め、コリを鍼やマッサージでほぐしてあげたら頭痛が劇的に改善したのです。

そこで大学の研究室でラットのからだに人工的にコリを作り、鍼をしてみて脳の働きを調べました。するとコリができることによって脳の中に痛みを強くする物質が出てきて、コリを取ってあげるとその物質も減ってくるということがわかったのです。

またコリは自律神経の機能障害もひどくすることがわかりました。つまり、コリを取ってあげることで痛みを軽くし自律神経の働きが良くなり、よく食べ、よく眠ることができるようになることがわかったのです。

鍼灸マッサージが痛みに対して効果があり、生活の質が上がることがこの実験でわかりました。

コリはトリガーポイントと呼ばれています。筋肉にできれば硬いしこりとなって触診でわかります。トリガーポイントは引き金点と訳され、そこを圧迫したり鍼で刺激したりすると筋肉がピクン!と跳ねます。また圧痛があるため、からだが押された痛みから逃れようと動きます。

トリガーポイント治療は麻酔薬の注射でも解消できますが、より安全な(薬剤の副作用がない)鍼やマッサージが適しています。

コリが取れても日常生活を改善しない限り再発します。コリは頭痛をひどくする原因にもなるし、それだけでからだを不調にする原因にもなります。

コリを作らない生活や筋トレ、ストレッチなど予防する方法はいくつもありますが鍼灸マッサージが最も効果的です。筋トレやストレッチと鍼灸マッサージを組み合わせて予防していくことをおすすめします。

(報 告:鍼灸なかだ治療院 中田 和宏