本日は第2回保険学術研修会並びに保険講習会が開催されました。
研修会は下崎整形外科医院の下崎 英二 医院長に" 変形性膝関節症の診断と治療"という内容で講演をしていただきました。
多忙な業務の中、関節鏡を使っての軟骨の映像や貴重な数々症例の写真を見せてくださいました。変形性膝関節症のグレードによって軟骨がどのような状態になっているのかとても興味深い映像でした。
手術が必要な症例では術前の術後の歩き方や気持ちの変化まで映し出されていました。下崎先生の誇りを持ってお仕事をされていらっしゃることが感じられる時間でした。
日本は平均寿命が高いが、平均寿命と健康寿命は9〜13歳差があり、寝たきりにならなくても健康なままで過ごせないという期間が長なる傾向があります。
健康寿命に影響を与えるものは脳と足腰の健康です。足腰の健康の核となるのは骨・関節・筋肉です。中高年にお勧めしたいことは30-40分のウオーキングです。
〈 変形性膝関節症 〉
変形性膝関節症とは、膝関節のクッションである軟骨のすり減りや筋力の低下が要因となって、膝の関節に炎症が起きたり、関節が変形したりして痛みが生じる病気です。
保存療法で改善がみられない場合は骨切り術をして人工関節を入れ、股関節と膝関節の軸を修正することで痛みを取ります。軟骨が減っているかどうかは立位でないと正確な診断ができないので立位でのレントゲンをとります。
疫学的には40歳以上で3000万人に変形が見られ、3分んの1に症状が見られます。運動時痛が特徴で疼痛・水腫・伸びが悪く可動域制限があります。伸展制限が見られるので、伸展のエクササイズを教えてあげる。原因として加齢・肥満・O脚・女性スポーツ後の外傷の既往がある方に多くみられます。
治療に関しては保存的治療と手術があります。
保存的治療 には薬物・注射・リハビリ・装具があります。
手術には関節鏡下手術・高位脛骨骨切術・片側型人口膝関節症置換術・全置換術があります。
薬物療法 としてはNセイズ 消炎鎮痛剤 医療用麻薬(心筋硬塞の痛みも取ってしまうことがあり、危険なこともある)があります。グルコサミンなどのサプリ について質問を受けることがありますが、軟骨の構成成分の一つですがエビデンスは得られていません。プラシーボ的にはあるかも知れない。また肝機能障害になることがもありますので注意が必要です。ヒアルロン酸・ステロイド は医学的に効果が確かです。水を抜くと癖になる?と聞かれることがありますが、癖になることはありません。抜かれた水によって症状の診断にもなります。黄色で透明であればOA、濁っていると関節リウマチで、白く濁っていると細菌など化膿性の関節炎、赤は血液が混じっていて腫瘍や半月板損傷などの外傷性のものです。
その他の保存療法として、装具治療・リハビリテーション・温熱療法・大腿四頭筋訓練・臀筋訓練があります。
保存的治療で効果がえられず痛みや機能障害を伴う場合は手術も視野に入れます。
高位脛骨骨切術の適応は40歳以上60歳、グレード2・3・4が対象になります。グレード 2・3が効果が高い。活動的な方に推奨されます。片側型人口膝関節症置換術の適応は65才以上の活動が少し少なくなりつつある方です。術前に正座が出来る方は術後も可能です。htpの技術が向上しは20〜30年はトラブルなく過ごせます。全置換術の適応はグレード5・6です。手術では静脈血栓塞栓症を出来るだけ避けることが大切です。コンピュータナビゲーションシステムで正確に手術が行われるようになりました。
下崎先生より、いくつになっても技術の研鑽が大切であるというお言葉をいただきました。私たち鍼灸師・鍼灸マッサージ師も患者様の想いに応えられるように学び、技術の向上を目指したいと思います。
本日は貴重なお話を伺うことができました。症状の適応や手術が必要と思われる場合の基準も教わることができました。明日からの診療に役立てていきたいと思います。